第8章 労働者援護基金
第126条
労働者が離職、死亡した場合または労働者援護基金委員会が定めるその他の場合に労働者を援護する基金として、労働者援護基金を労働保護福祉局に設置する。

第127条 
@労働者援護基金は次のものからなる。
(1)掛金及び拠出金
(2)133条及び第136条の規定により労働者援護基金に帰属する金銭
(3)131条に定める追徴金
(4)本法に違反した者を処罰して得られた罰金
(5)寄付された金銭または財産
(6)政府からの助成金
(7)その他の収入
(8)労働者援護基金の利息
A労働者援護基金に次の会計を設ける
(1)掛金、拠出金及び各加入者からのこれら金銭から発生した利息からなる加入者会計
(2)(1)以外のその他の金銭項目からなる公共会計

第128条
127条(4)に定める罰金の労働者援護基金への振り替え及び当該金銭の振り替え時期については、労働者援護基金委員会が定め官報に公示する規則に従うものとする。

第129条
@本法の施行の便宜のため、第127条に定める労働者援護基金の金銭財産は、労働保護福祉局に属するものとし、国家収入として大蔵省に送付する必要はない。
A労働者援護基金委員会を設置する。労働社会福祉事務次官を委員長とし、大蔵省代表、国家経済社会委員会事務局代表、タイ中央銀行代表を委員とし、使用者代表及び労働者代表各5人で大臣の任命する者を委員とし、使用者代表及び労働者代表各5人で大臣の任命する者を委員とし、労働保護福祉局長を委員及び事務局長とする。
B労働者援護基金委員会は次の権限責務を有する。
(1)大臣の同意を得て労働者援護基金の運営及び支払に関する政策を定めること。
(2)本法の定めを施行するための勅令、省令、告示及び規則の制定に関し、大臣に対する意見を審議すること。
(3)大臣の同意を得て労働者援護基金の金銭の受領、支払または預金に関し規則を制定すること。
(4)大臣の同意を得て労働者援護基金の運用に関し規則を制定すること。
(5)労働者援護基金の運営費用に充てるため労働者援護基金の年間利息の10%を超えない金銭を割り当てること。
(6)本法または他の法律により労働者援護基金委員会の権限責務とされた、または大臣の委任したその他の事項
C78条第2項、第80条、第81条、第82条第1項、第83条及び第84条の規定は、労働者援護基金委員会に準用する。

130
@労働者10人以上の事業所の労働者を労働者援護基金の加入者とする。
A第1項の規定は、省令で定める規則及び手続きに従い、プロヴィデントファンドに関する法律に基づくプロヴィデントファンドを有している使用者または労働者が離職した若しくは死亡した場合の労働者援護制度を有している使用者には適用しない。
B第1項の規定は勅令の制定により、労働者10人未満の事業所の労働者に適用する。
C労働者援護基金委員会は、本法の適用のない事業所の労働者で、使用者の同意を得て労働者援護基金の加入者になりたいと希望するときに労働者援護基金に加入申請できるようまた本法の適用のある事業所と同様の義務を本法に基づき使用者に負わせるよう規定を定めることができる。
D第1項の規定により労働者が労働者援護基金の加入者となる使用者は、労働者の名簿その他の詳細を示す届出書を提出しなければならない。当該届出書を使用者が提出したときは、労働保護福祉局は使用者に登録証書を出す。
E提出済の労働者名届出書内の事実に変更があった場合は、使用者は書面で労働保護福祉局にその変更または当該届出書の修正追加を通知しなければならない。
F労働者名を示す届出書の変更追補及び使用者への登録証書の発行については労働者援護基金委員会の定める様式、規則及び手続による。
G社会保障法に基づく届出様式、変更通知または修正追加を提出した者は本条第5項、第6項及び第7項の定めを実施したものとみなす。

131
@労働者が労働者援護基金の加入者となった日から、賃金支払がなされる都度、労働者は、使用者に賃金から掛金の控除を行わせ使用者が労働者援護基金に拠出金を納入する方法により掛金を支払わなければならない。これについては賃金の5%を超えない省令で定める額によるものとする。
A使用者が支払うべき支払期日に賃金を支払わない場合、賃金支払がなされたと同様にみなして使用者に掛金及び拠出金の納入の責任を与える。
B使用者が第4項に定める期限内に掛金若しくは拠出金を納入しないまたは満額納入しない場合、使用者は上述の納入しなければならない日から、未納入の若しくは未完納の掛金並びに拠出金額の月利5%の追徴金を労働者援護基金に支払わなければならない。15日以上の端数は1か月とみなし15日未満は切り捨てる。使用者は、上述の納入の責任を免れるために賃金控除を行わなかったこと若しくは賃金控除を行ったが満額行わなかったことを理由として援用することはできない。
C 掛金、拠出金及び追徴金の労働者援護基金への納入については、労働者援護基金委員会の定める規則及び手続に定めるところによる。

132 
@使用者が定められた期日に、掛金若しくは拠出金を納入しないまたは満額納入しない場合、労働監督官は、使用者に当該警告書を受領した日から30未満の定められた期間内に未納金を納入するよう求める警告書をを発するものとする。
A第1項に定める警告書を発する際、賃金額を明確に知ることができない場合には、労働監督官は、労働者援護基金委員会の定める規則及び手続に従い、使用者が納入すべき掛金及び拠出金を見積もる権限を有する。

133
@労働者が離職した場合、労働保護福祉局は、掛金、拠出金及びそれらの利息を労働者援護基金より労働者に対し支払わなければならない。
A労働者が死亡した場合で、労働者が労働者援護基金から金銭を受領すべき者を定め、局長が定める様式により文書にしたため労働保護福祉局に提出しておかなかったとき若しくは受領すべき者を定めてあったが当該者が事前に死亡していたときは、第1項に定める労働者援護基金よりの金銭は、生存している子、配偶者、両親に各人等分に支払うものとする。

第134条
133条に定める場合以外のその他の場合に係る労働者援護基金からの支払については、労働者援護基金委員会が、援護金の支払、支払額及び支払期間の規則を定める。この場合、労働者援護基金のうち第133条の定めにより支払うべき金銭としては使用しない部分の額を勘案するものとする。

第135条
@134条に基づき労働保護福祉局が労働者援護基金から労働者に、全部であろうと一部であろうと支払を行った場合には、労働者援護基金は、法律に従い当該金銭を労働者を支払うべき責任を有する者に、労働者援護基金が支払った金銭の賠償を年利15%の利息とともに請求する権利を有する。
A労働者援護基金の請求権は、労働者援護基金が第1項に従い金銭を支払った日から10年で時効となる。

136
@   労働監督官は、法により責任を有しかつ掛金、拠出金若しくは追徴金を支払わないまたは満額支払わない、あるいは第135条により支払うべき金銭を支払わない者の財産を没収、差押または競売に付す旨の命令を書面により出す権限を有する。
A第1項による財産の没収、差押または競売の命令を発するには、法により責任を有し、未払いの掛金、拠出金若しくは追徴金を支払うべき又は第135条の定めにより支払うべき金銭を支払うべき責任を有する者に対し、使用者が当該警告書を受け取ってから少なくとも30日以上の定められた期間内に支払うよう警告書を発したのにもかかわらず、定められた期間内に支払いを行わない場合に行うことができるものとする。
B第1項に定める財産の没収、差押または競売の規則及び手続は大臣の定める規定によるものとする。これについては、民事訴訟法典に定める規則及び手続を準用する。
C競売により得られた金銭は、没収、差押または競売の費用を差し引いたうえで未払の掛金、拠出金若しくは追徴金または第135条の規定により支払うべき責任を有する者の金銭に充当するものとする。残金がある場合には、労働監督官が書留郵便にて返却残金の受領方書面で通知することにより速やかに当該者に返却するものとする。5年以内に返却残金の受領方請求がない場合には残金は労働者援護基金に帰属するものとする。

第137条
労働者援護基金への金銭の請求権は譲渡することができず、裁判所の強制執行に対し責任を負わない。

第138条
@   暦年末から120日以内に、労働者援護基金委員会は、前年の労働者援護基金の貸借対照表及び収支報告書を大臣に提出する前に検査できるよう会計検査院に提出するものとする。
A上述の貸借対照表及び収支報告書は、大臣が内閣に提出し、官報に告示しなければならない。